モノづくり体験(YES工房) 大森丈広さん 体験提供者インタビューレポート

YES工房〜”モノづくり”から教わる地域の魅力と生徒の個性〜

 一般社団法人南三陸YES工房が主催する体験は、南三陸町での教育旅行プログラムの中でも人気が高い体験のひとつです。体験内容は大きく分けて3種類。合格祈願の「オクトパス君」、南三陸杉の間伐材を使用した木工クラフト、地域に根付く養蚕文化を受け継いだまゆ細工。どれも地域の魅力と密接に関わる内容で、伝統を重んじながら現代の人々にも親しまれるようなデザインやワークショップになっています。

 今回はYES工房の代表を務める大森丈広さんに、教育旅行を受け入れる上で大切にしていることを伺いました。

ー学校に魅力を感じてもらっているポイント

 YES工房が教育旅行の受け入れ先として選んで頂けているのは、体験内容と受け入れできる環境があると思います。体験内容としては、地域の伝統や文化と密接に関わっている教育的要素が含まれている点や生徒それぞれの個性溢れる作品を持ち帰ってもらえる点などは先生、生徒さん両方からご満足いただいています。また、廃校になった中学校の体育館を活用した体験会場は100人規模で受け入れが可能です。屋内で大人数が受け入れらることで天候に左右されずスケジュールを立てやすいと好評を得ています。

 

―学校のニーズに合わせて変化し続ける体験内容

 YES工房が体験の提供を開始したのは、2016年。受け入れを行う中で、先生や生徒さんの声を聞き要望によって内容を変えてきました。受け入れ当初は3種類しかなかったプログラムも現在では約10種類ほどにバリエーションが増えました。プログラムを新しく企画する上で大切にしていることは「参加者が楽しめること」。学校側が年齢や金額に応じたプログラムを選択できるよう常にニーズを捉え体制を整えています。

―体験を通じて大切にしているコミュニケーション

 体験を提供する中で気をつけていることはコミュニケーションを通して個性を認め、否定をしないこと。体験を通して、生徒さん1人1人の個性を大事にしたいと考えています。体験内容も、その人の個性が出るように企画しています。例えば、オクトパス君の体験でも塗り方ひとつで個性が体現されていきます。そういった個性をスタッフが積極的に認め、「面白いアイディアだね。」「丁寧だね。」など声かけをするようにしています。以前にこういったコミュニケーションから「初めて人に認めて褒めてもらえた。」と体験終了後の学校生活にも変化があり、再度生徒さん自ら訪問してくださったこともあります。こういった感想をもらえたことは私たちも本当に嬉しいです。引き続きコミュニケーションを大切にしながら体験を提供していこうと思います。

―各体験から伝わる地域ならではの魅力

 YES工房が提供している体験は、全て南三陸を体現した内容になっています。木工体験、まゆ細工とオクトパス君づくり。それぞれの体験内容で、南三陸町ならではのストーリーを伝えています。木工体験に関しては、南三陸町の約8割を占める森林から学ぶ林業や森林資源、まゆ細工に関しては、南三陸の歴史として仙台藩の養蚕発祥の地で栄えたシルクの文化、オクトパス君づくりに関しては、震災から復興までの歩み。生徒さんに楽しんでもらいながら、南三陸の魅力を知ってもらえるような仕組み作りを心がけています。

 教育旅行の人気を支えているのは、生徒さんそれぞれの個性を認める体験内容とスタッフさんのコミュニケーション力だと感じたインタビューでした。
ぜひ、YES工房から南三陸の地域の魅力を感じる体験をしてみてください。

 

モノづくり体験
南三陸町の名産品であるタコをモチーフにしたオクトパスくんの「文鎮」や陶器の「タコロン」に色を塗る体験、スプーン・フォーク作り体験など、詳細は『こちら』です。

ライター

   西田 早織氏(にしだ さおり) 

埼玉県出身。転職を機に南三陸町へプチ移住。学習院女子大学卒業後、外資系ブランド販売員を経て、現在myProduct株式会社の地域コーディネーターとして南三陸と関わる。地域の産業の担い手と共に、観光体験企画や大手企業との取り組みをコーディネート。地元ではボランティア情報誌の編集長としても活動。

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