東日本大震災の復興に関する研究者がオンライン語り部を活用!

実施概要

研究チーム名:東日本大震災の復興過程に関する公共人類学的研究 
       レジリエントな社会モデルの構築
日時:2020年1月30日 14:00~16:00
人数:11名(大学教員6名、学生4名、社会人1名)

 東日本大震災以降、それぞれの研究者が活動を重ねてきた中、2020年4月、研究チームを発足。今回のオンライン語り部は、東京大学、筑波大学、宮城学院女子大学、多摩大学、麗澤大学から教授6名、東京大学、一橋大学から学生4名と社会人1名が参加してくださいました。

目的

 当プログラムへ参加された研究チームで、毎年「学び旅」として被災地へ足を運んで下さっていたとのこと。今回、コロナ禍で現地研修が難しいことから、「震災語り部講話・オンライン」を受講してくださいました。

実施プログラム

 地域在住の語り部ガイドが当時の被災体験を語る「震災語り部講話・オンライン
 ※「震災語り部講話・オンライン」は、2020年7月に新しく誕生し、その名が示す通りオンラインのビデオ通話システムを介し、語り部から受講者の皆様に東日本大震災の体験談や、現在に至るまでの復興の道のりをお話させていただく講話スタイルのプログラムです。「修学旅行等の事前学習・課題研修・防災学習」でのご利用をご提案します。クラスごとの複数回線接続も可能です。

体験の様子

 今回、オンライン語り部を担当した菅原清香さん。菅原さんは、高校卒業後から現在に至るまでバスガイドとして仕事をしてきました。震災をきっかけに、語り部としても活動を精力的に取り組んでいます。オンライン語り部でもバスガイドの経験から受講者の皆様から「わかりやすい!」「胸を打たれた。」等と好評を得ています。

 プログラムの前半は、スライドで実際の被災状況の写真を見せながら、震災当時の状況から復興までの道のりを語り部自身の言葉で語りました。菅原さん自身の当時の状況も伝えてくれました。震災当時、菅原さん自身が息子さんとメール1通しかやり取りできず、安否が心配だったが再会できたことや、お母さんは未だに行方不明という話。参加者は、体験者から語られる言葉に胸を打たれていました。

 後半は、質疑応答の時間をたっぷり1時間。震災後の人々の変化や語り部の取り組みについてなど様々な質問が出てきました。その中で感じ取れたのは、菅原さんのどんな質問にも向き合って丁寧に答える人柄と参加者に合わせて伝えるメッセージを変えるプロとしての意識。研究者の皆さんの様々な角度からの質問にも1つ1つしっかり答えていました。

 今まで大切にしてきた語り部の本質からもぶれずに、更に磨きをかけたオンラインのプログラムとなっています。

語り部さんの感想

 オンライン語り部を通して、参加者に伝えていきたいことは、「震災のことを忘れず、現在の生活にも反映させて何か気付きをもってくれたら」ということです。オンライン語り部の価値は、天候や交通状況に左右されず、時間内に集中してお互いに対話ができること。現地に足を運んで欲しい気持ちはもちろんですが、話をしっかり聞いていただける時間は嬉しいです。

先生の感想

 率直に参加してよかった!十分にメッセージを伝えてもらうことができ、学びを得ることができたと感じています。今回は、授業という形式でなく募集という形で本当に興味のある学生だけが参加したので、2時間という時間でしたがより有意義な時間となったと思います。

 今後コロナが落ち着いたら、また現地に足を運びたいです。

学生の感想

 ◎以前に、阪神淡路大震災の語り部を聞いたことあるが、一方的に語り部さんの話を聞くような形だった。今回は、オンラインで実施されたことで、スライドなどが使われて別の要素として学びを補ってくれたので行ったことない場所でも学びを深めることができた。

 ◎中国出身で語り部という文化がないので、どういった文化や効果があるのか興味深かった。今回は、募集があったので是非と思い申し込んだ。引き続き興味深いので、学んでいきたい。

最後に・・・

 今回の参加者の方からはこのような声もいただきました。

 コロナが収束した後も、観光の体験は変わるだろうと感じています。学びという要素が深まるような旅が注目されていくと思うので、オンラインの語り部ももちろんですが現地での学びも足を運ぶ方が多くなると思います。

 コロナで行き来が難しい状況下ではオンライン、コロナが収束したら現地で会えることを語り部の皆さんと共に楽しみにしています。

ライター

   西田 早織氏(にしだ さおり) 

埼玉県出身。転職を機に南三陸町へプチ移住。学習院女子大学卒業後、外資系ブランド販売員を経て、現在myProduct株式会社の地域コーディネーターとして南三陸と関わる。地域の産業の担い手と共に、観光体験企画や大手企業との取り組みをコーディネート。地元ではボランティア情報誌の編集長としても活動。

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