
戸倉地区に鎮座する戸倉神社にて、4月20日、待ちに待った「春大祭」が執り行われました。
地域の人口減少により年々課題となっている神輿の担ぎ手不足を受け、今回は地域外からも担ぎ手を募集し、多くの方の協力のもと執り行われました。
戸倉神社の大例祭
戸倉神社では春大祭と秋大祭が2年ごとに交互に行われ、春大祭では「神輿渡御」が、秋大祭では町指定の民俗芸能「本吉法印神楽」が奉納されます。
コロナ禍をはじめとする昨今の事情により秋大祭が延期されていたため、今回の春大祭は実に6年ぶりの開催となり、地域の方々にとっても、待ちに待ったお祭りとなりました。
担ぎ手不足を乗り越え、伝統を未来へ繋ぐ挑戦
しかし近年は、地域の人口減少にともない、神輿を担ぐ人が年々少なくなってきているのが現状です。このままでは、長く受け継がれてきた大切なお祭りの伝統が続けられなくなるかもしれない。
受け継がれてきた伝統を守り、未来へつなげるため、今回、初の試みとして、神輿の担ぎ手を募集しました!
参加者、そして地元の方、祭りの様子をレポートします。
戸倉神社春大祭 前夜祭(4月19日)
春大祭前日の4月19日。
前回、春大祭が執り行われたのは2019年。6年ぶりに出された神輿をみんなで綺麗に丁寧に磨き上げます。
翌日の神輿渡御の安全と祭りの成功を祈り、御祈祷を行いました。
戸倉神社春大祭 当日(4月20日)
そして迎えた4月20日、春大祭当日。
この日は、南三陸高校の未来留学生6名も神輿の担ぎ手として参加しました。
白装束に身を包み、戸倉神社で御祈祷を終えた一行。
ご神体を神輿に移し、戸倉神社出発です!
神社の急な階段を、皆で息を合わせて神輿を担ぎながら慎重に下りていきます。
その先では、波伝谷地区に伝わる勇壮な獅子舞が待ち受けていました。
波伝谷の獅子舞は、300年以上もの歴史を持つ町の無形文化財「波伝谷春祈祷」として、毎年春祈祷の日に神社から獅子頭が降ろされ、各家々を巡り厄払いを行うものです。この日は、戸倉神社春大祭の神輿渡御とともに、祭りをさらに盛り上げます。
豆腐を咥えて獅子が舞い厄払い~波伝谷春祈祷~ – 南三陸なう
戸倉神社を出発した神輿は、かつて戸倉神社があったとされる波伝谷漁港へと向かいます。ここでは、海水で神輿を清め、改めて御祈祷が行われました。
清められた神輿は、いよいよ戸倉の4つの地区(津の宮、波伝谷、在郷、水戸辺)を練り歩きます。
※かつては6km以上の道のりをすべて担いで巡っていましたが、近年は一部区間でトラックを使用しています。
波伝谷漁港を出た神輿は最初の目的地、津の宮公民館へ。
満開の桜と獅子舞、そして地元の方々の温かい笑顔に迎えられ、公民館到着です。
各地区の集会所へ到着すると、まずは御祈祷が行われます。地元の方も6年ぶりの神輿と獅子舞に笑顔です。獅子に頭をくわえてもらい、邪気払いをしてもらう人も。
各地区の公民館は「やで(お休み処)」として開放され、お神酒やご馳走が担ぎ手たちに振舞われました。
その後も、波伝谷地区集会所(波伝谷)、沖田地区集会所(在郷、水戸辺)をまわり、どちらの「やで」でも笑顔の住民にあたたかく迎え入れてもらいました。
各地区を巡り終えた神輿は、出発地点である戸倉神社へと戻ります。
最後に待ち受けるのは、急勾配の参道階段!担ぎ手たちは最後の力を振り絞り、一歩ずつ階段を上っていきます。そして午後3時頃、神輿は無事に戸倉神社へと還御しました。
受け継がれる地域の絆と熱意
神輿が無事に神社へ戻り、境内には笑顔と安堵の空気が広がっていました。
地域の人々と参加者の想いがひとつになった戸倉神社春大祭。これからも続けていけるよう、私たち一人ひとりの関わりが、その力になるのだと改めて感じました。
4年後の開催も楽しみにしています!
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