仙台市立向陽台中学校様【箸づくり体験(雨天時代替えプログラム)】実施レポート

■林業講義・箸づくり体験(枝打ち間伐体験の雨プログラム)
■実施概要
【日時】2022年5月13日 10:00~11:45
【団体】仙台市立向陽台中学校様
【人数】99名

海のイメージが強い南三陸町ですが,実は町の面積のおよそ8割を森林が占めています。
分水嶺で囲まれた南三陸町,町内に降った雨は全て川を通じて志津川湾に注ぎ,森林から田畑へ,まちへ,そして海へと流れます。
森林を育む山の環境が悪ければ,その影響は田畑やまち,海にまで及びます。
そのため,南三陸町では環境に配慮した適切な森林管理に力を入れています。

今回は林業について学ぶプログラムです。当初の予定では,実際に山で間伐を体験してもらう行程でしたが,この日は残念ながら雨天のため,代わりに「南三陸杉」の箸づくり体験を行いました。

最初に,南三陸森林組合から,南三陸町の林業やFSC認証取得について説明がありました。

 

南三陸町は,東日本大震災での被災をきっかけに,自然を生かした町づくりを目指して復興に取り組んできました。
これをうけて,町の林業関係者は,持続可能な林業を目指し,より適切に森林管理をしていこうと考えました。
そして,南三陸森林管理協議会を立ち上げ,宮城県で初めてFSC認証を取得したのです。
FSC認証取得を機に,古くから良材の産地として受け継がれてきた杉を「南三陸杉」と名づけ,ブランドとして打ち出すようになりました。
南三陸杉は,薄いピンク色の木肌が特徴で,その美しい見た目と強さから,住宅の床・天井・柱などの建材のほか,家具やインテリアなどの素材として,幅広い目的で活用されています。

「昨年のオリンピックで利用された新国立競技場の一部にも,南三陸杉が使われています。町内では,町役場や多くの観光客が訪れるさんさん商店街でも使ってもらっているんです。町内材の活用は,地域の森林資源活用と資源循環につながるんです」

その後,林業の仕事についての映像を見ました。
どのようにして間伐が行われているのか,どんな機械を使っているのかについてだけでなく,間伐作業中に事故が起こらないようにどんなことに気を付けているのかを学びました。
参加者のみなさんは,真剣な面持ちで耳を傾けていました。
自分たちの想像よりも間伐は危険が伴う仕事なのだと,映像や説明から学んだようです。

林業について学んだ後は,箸づくりスタートです。
通常の箸よりも少し太めな木の棒2本と2種類の紙やすりが配られました。
今回の箸作りは,荒めの紙やすりで箸の形を作っていき,細かいやすりで表面をなめらかにして完成です。

「杉って思ったよりも結構軽いね!」
「木目がきれい!」
「割り箸と同じかなと思っていたけど,全然違うね」
生徒のみなさんは,実際に南三陸杉に触れてみて,その軽さや美しさに驚いている様子でした。

「持ってみると太いから,結構削らないと。先を細く仕上げたいな」
「左右対称にするの難しい〜」
「だいぶなめらかな手触りになってきた」

自分の理想の箸になるように,根気強く削っていきます。
形が丸になるようこだわったり,母親にプレゼントするために持ち手を細めにしたり,木目の美しさが際立つように表面を丁寧に整えたり。
長い時間集中して,1人1人箸を作っていきました。

参加した生徒からは,
「間伐って,草むしりみたいに余分な木をただ切ればいいと思っていたけど,講義を受けて,森林の環境や作業員の安全など,いろんなことを考えなければいけないことを初めて知った。危険なこともあるけど,自然環境を守る大切な仕事だと感じた」

「おじいちゃんの趣味が木彫りで,僕も一緒にやることがある。木で何かを作ることが好きなので,箸づくりも楽しかった!おじいちゃんがやる木彫りでは,杉は使ってないから,帰ったらおじいちゃんに作った箸を見せてあげたい!」

「普段,木のことを意識して生活することは少ないけど,今回の箸づくりで触って,色々な角度で見つめてみて,木っていいなって感じた」といった感想が聞けました。

ふと考えてみると,私たちの生活のいたるところで木材が使われていることに気付きます。
家や職場,学校や公共施設,日々利用する家具や什器など,木材は私たちの生活を快適で,豊かなものにしてくれています。
今回の体験で,じっくりと木に触れてみることで,木の良さを改めて実感できたことでしょう。

【枝打ち体験】詳細についてはこちらから
※今回は、雨天時プログラムにて「箸づくり体験」を実施しています。

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