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海とともに、
生きるまち。

17.港浜

歌津の海岸線は複雑に入り組んでいるが、その中にひときわ美しい入り江がある。
国道45号線を気仙沼方面に北上した町境近く、港川の河口の港浜である。
 
外洋から入る波を遮るような深い入り江は、まさに天然の良港だ。強い風にあおられて沖に白波が立っていても、港は別世界のように穏やかだ。

漁師たちは季節の魚を捕らえるために沖合に定置網を仕掛ける。長年の経験から熟知する潮の流れや海底の地形、魚たちの生態を読みながら、仕掛ける場所を定める。
その位置は、「山ばかり」と言って、陸地の景色を目印して伝えられる。

250年ほど前の伊達藩の時代に書かれた安永風土記には、港浜から少し内陸に入ったところに港浜屋敷という大きな集落が記されているそうだ。
昔から人々は、この地形を生かして港浜から米の積み出しをし、漁業や舟運などの生業を代々継承して来たのだ。

港浜の漁師たちが舟を係留し、網の手入れをしてきた浜は、なぜかやさしく心安らぐ趣を醸し出す。
港浜の景観は、まさに人々が長い時間をかけてつくってきた文化的景観* なのだ。
そこは、まさに大自然と人間界との接点だ。
 
「自然は寂しい、しかし人の手が加わるとあたたかくなる」と民俗学者 宮本常一が残した言葉をふと思い出す。
 
海が見たくなったら、ふらりとこの静かな入り江で過ごすのもいい。漁師さんたちと言葉を交わすと、この港にぐっと親近感が湧いてくる。

* 文化的景観とは、人間と自然との相互作用によって生み出された景観のこと。

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