スズキ・メソード東北地区様【南三陸町合宿プラン】体験レポート_2025年
■実施概要
【日時】2025年9月14日(日)~9月15日(月・祝) 1泊2日
【団体】スズキ・メソード東北地区様
(全国に支部があり、東北地区でも活動する団体)
【人数】57名
「南三陸町合宿プラン」を利用し、スズキ・メソード東北地区のみなさんが、「じしんをしるたび~震災学習とコンサートで南三陸とつながる」と題し、音楽合宿を行いました。
練習と体験、コンサート、震災学習が一つにまとまった充実の2日間。
音楽を通じて南三陸と心をつなぐ旅の様子をお届けします。
■体験レポ―ト
「じしんをしるたび」とは?震災を学び、自分自身を見つめる旅
この取り組みの名称は「じしんをしるたび」。地震を学ぶことを通して、自分自身のあり方を見つめる旅という意味が込められています。東日本大震災を経験していない世代が増える中、音楽を学ぶ生徒さんたちが沿岸被災地を訪れ、学び、
そして感謝の演奏を届ける――そんな一連の体験が、心を育む大切なレッスンになっています。
広くて使いやすい文化交流ホールでの練習
初日は 南三陸町ベイサイドアリーナ文化交流ホールでの練習からスタート。実際に、式典やコンサートで使われることも多い本格的なホール。フラットな面積が広いので、レイアウトの自由度が高く、合奏の隊形もスムーズに調整できました。バイオリン、チェロ、ピアノを学ぶ4歳から50代まで、年代も幅広い生徒さんが、一堂に会して真剣な表情で音を合わせます。普段は別々の教室で習う生徒さんたちにとって、この合宿は特別な時間です。休憩時間には、指導者のみなさんの計らいで南三陸のおやつが配られ、笑顔がこぼれる場面も見られました。



森の恵みを音に変える笛づくり体験
練習の合間には、宿泊施設「南三陸まなびの里いりやど」が提供する笛づくり体験に挑戦。
海のイメージが強い南三陸ですが、町の7割以上は山林です。その森林から出る未利用資源である小枝を使って、自分だけの笛作りを楽しみました。あらかじめ笛の形に用意されている枝を、サンドペーパーや小刀、かんななど、年齢に応じた道具を使って磨いていきます。最後にえごま油を塗ってツヤを出したら完成!大喜びで吹き鳴らしていました。
参加した親子の方からは「簡単にできたのでよかった」との感想も。完成した笛は翌日のコンサートの曲中で披露するため、早速練習!体験の成果が音楽として響きました。




練習後は、町内の2つの宿泊施設に分泊。基本的には1家族1部屋で宿泊でき、快適に過ごせたとの声が多く聞かれました。民宿で花火を楽しんだ参加者の方もいました。
星をつなぐコンサート:南三陸311メモリアル前に響く感謝の音色
2日目は、隈研吾氏設計の大屋根が印象的な南三陸311メモリアル前でコンサートを開催。リハーサルが始まると徐々に観客が集まり、観光客や地元の方々が足を止めて聴き入っていました。音楽を通して育んだ心を、スズキ・メソードのシンボルである「星」に託して、他者へとつないでいくーーコンサートのタイトルに込められた温かい思いが語られ、演奏がスタートしました。曲目は、誰もが聞いたことのあるクラシックの名曲、映画音楽から童謡まで。一曲ごとに温かい拍手が響き、演奏する生徒さんたちの表情も次第に和らいでいきます。




「みなさんが熱心に聞いてくださったので、演奏する音にも熱意がこもった」と指導者の方。生徒さんたちからも「緊張したけど、貴重な経験だった」「こういった場所で演奏することはあまりないので、心が踊った」と笑顔がこぼれました。
語り部とバスで巡る震災学習
コンサート後はバスで町内を巡り、語り部プログラムに参加。今回案内してくださったのは、震災当時戸倉小学校で1年生の担任をしていた斎藤先生。震災当時の話や、震災前後で町がまったく変わってしまったことなど、町民の視点で丁寧に語ってくださいました。

「戸倉地区の到達水位は22メートルです」という言葉に、参加者のみなさんから思わず「えー!」という声が。戸倉中学校を訪れた生徒さんは「こんな高さまで津波がきたなんてありえないと思った。自分がここに住んでたらどう感じただろう」と語り、未就学の小さな生徒さんでも、精一杯想像力を働かせて震災というものを受け止めている様子が見てとれました。

親子で参加した方は「震災1年後に防災対策庁舎を訪れたことがあったので、当時のことが思い出されました。息子は震災後に生まれたので、全く当時のことはイメージできていなかったと思いますが、今日の話から何か一つでも印象を持ち帰ってもらえれば」と話していました。
町ぐるみでウェルカムな空気を感じた
観光協会のコーディネートにより、練習・体験・演奏・震災学習がスムーズに連動した今回の合宿。
団体担当者は「町ぐるみでウエルカムな空気を感じてありがたかった。コンサート会場の手配から練習場所の予約まで、観光協会が一本化して調整してくれたおかげでとても心強かった」と振り返ります。
音楽を通じた感謝の表現と、震災を学ぶ機会が一体となった今回の合宿は、次世代にとって大切な経験となったはずです。
南三陸町合宿プランに関する詳細はこちら
南三陸Training Camp(合宿プラン) | 南三陸町体験学習プログラム

