山梨県立巨摩高等学校様「南三陸アクティブラーニング 環境学習」実施レポート

■実施概要

【団体】山梨県立巨摩高等学校様
【日時】2021年11月15日 13:30~16:30
【人数】40名

南三陸アクティブラーニング(環境学習)

私たちの生活に欠かせない食。
毎日食事はしていても、どこで、誰が、どのように、どんな思いでつくっているのか、考えながら食べる機会は少ないでしょう。
その食に関する課題を南三陸町の漁業や海の環境を通して考えるプログラム、「南三陸アクティブラーニング(環境学習)」を体験していただきました。

まずは、南三陸町の養殖業についてのレクチャーです。今回、レクチャーしてくださったのは一般社団法人サスティナビリティセンターの太齋彰浩さん。

海洋生物学を研究していた太齋さん。
南三陸で盛んな5つの養殖業(かき、ほや、ほたて、わかめ、銀鮭)と養殖方法の違い、養殖の現場で今何が問題になっているのかなど、専門的な観点も交えながらお話をしていただきました。
話を聞いた皆さんは、養殖によって餌や育て方が違うことに驚いている様子でした。

その後、漁船へ乗って養殖現場を見学しました。

山梨県から来た参加者の皆さんは普段海を見る機会が少ないので、海やたくさんの漁船が並ぶ様子にびっくり。
そして、漁船に乗るのも全員初めて!
初めは船の揺れや水飛沫にドキドキしている様子も見られましたが、海から見える景色を眺めたり、うみねこに餌やりをしたりするうちに緊張がほぐれたようです。漁船にも慣れたころ、あまりの楽しさから、「俺、漁師になりたい!」「俺も俺も」といった声も聞こえてきました。しばらくしてから、漁師さんから養殖している場所を紹介してもらい、浮き玉がたくさん浮かぶ海の様子を興味深そうに見学していました。

つづいて、漁師さん手作りの紙芝居でわかめの養殖から出荷までの流れを学びました。

「わかめは目に見えないほど小さな種から芽が育ってきます。それをロープにはさんで、浮き玉と一緒に海へ離し、大きく育った頃に収穫します。けれど、はさんだ芽がなくなってしまう『芽落ち』という深刻な問題が今起きています。なぜ芽落ちが起きるのかというと、環境変化によって水温が上がっていたり、栄養塩が不足したりしていることが原因と考えられています。なので今年は、通常よりも時期を遅くして、わかめの養殖を進めていこうと対策をしています」

漁師さんから養殖の仕方や現場の苦労話などを聞いた後、自分の感じたことや疑問に思ったことをグループでディスカッションしました。

「漁船に乗って案内してもらうことで養殖の規模を知れた。想像よりもずっと広くてびっくりした」

「養殖は安定していると思っていたけど、海の環境の変化や天候によって対応を考えないといけなくて大変なんだと思った」

「養殖するものによって育てるための適した環境があることを知った」

さまざまな発見や感想をグループで共有し、時には共感しあいながら理解を深めている様子が見られました。また、感想と同時に多くの疑問も出てきました。

「海に一番影響のある災害はなんだろう?」

「栄養塩ってどこからくるの?」

「海の環境が変化すると獲れるものが変わるの?」

学生たちの疑問に、講師が丁寧に答えていきます。

「自然災害よりも怖いのは環境問題ですよね。以前は、シロザケという魚が何十トン、何百トンと水揚げされ、この町の経済を支えていました。しかし今は、何百匹単位でしか獲れなくなってしまって。今年は特に不漁で、町名物のキラキラ丼にいくらが使えなくなり、中止になるくらいです。これは温暖化の影響でシロザケが戻れる水温ではなくなってしまったからなんです」

「実は温暖化が進むと海洋酸性化という問題も起きてきます。二酸化炭素が海に溶けて海水が酸性化していくと、さまざまな生物が生きていけない環境になってしまうんです」

授業やニュースでよく聞く温暖化などの環境問題が自分たちの食に影響を及ぼしていることに危機感を感じていたようでした。

参加者からは

「私たちは海のない県に住んでいるからこそ、海のために何ができるのかを考えていかないといけないと思った」

という声が聞こえました。

昨日の夕飯、今日の朝食で食べたものが、この先の未来で食べられなくなる日が来るのかもしれない。そうならないように、今起きている問題を調査し、工夫や対策を行っている人たちがいます。

今回、そんな方々と現地で話し、実際に案内してもらったことで、普段の食と環境問題が密接に関係していることを実感できたのではないでしょうか。

南三陸アクティブラーニング(環境学習)」の詳細ページはこちら

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