仙台市立秋保中学校様_校外学習レポート_2025年

○実施概要

【日時】2025年5月19日(月)~1泊2日

【団体】仙台市立秋保中学校 様(宮城県)

【人数】27名

【秋保中学校様 ご旅程】
 ■5月19日(月)
 ・タコロン絵付け体験
 ・南三陸BBQ体験
 ・南三陸311メモリアル ラーニングプログラム
 ・語り部による学びのプログラム
 ■5月20日(火)
 ・海から学ぶプログラム:袖浜版

 この度は秋保中学校の皆さまに、2025年5月19日(月)から1泊2日の日程で、南三陸町にお越しいただきました。
 南三陸町は、豊かな自然環境と地域文化を活かした体験など、さまざまな学びと気づきの場を提供している地域です。漁船に乗って海を間近に感じる漁業体験や、町のキャラクターをモチーフにしたモノづくり体験、東日本大震災における当時の記録や語り部による震災学習などを通じて、自然と人々の暮らしとのつながりを深く体感していただけます。

 今回のご訪問では、モノづくり体験やBBQ、震災学習、そして漁業体験など、盛りだくさんのプログラムを体験されました。本レポートでは、その2日間のご様子を振り返りながらご紹介いたします。

タコロン絵付け体験

 「タコロン絵付け体験」は「南三陸YES工房」が行っているモノづくり体験で、南三陸町発祥のゆるキャラ「オクトパスくん」をモチーフにした小さくて軽い陶器の置物「タコロン」に、アクリルガッシュで絵付けをするものです。「オクトパスくん」の名前は「置くとパス(=試験などに合格する)」という語呂合わせにもなっており、受験などへの縁起物としても親しまれています。

 体験では、生徒の皆さんに真っ白なタコロンへ思い思いの色を塗っていただきました。真っ赤でかわいらしいタコや、ユニークな発想で“タコ焼き風”に仕上げる作品も見られ、個性豊かなタコロンたちが並びました。

 体験の初めには「南三陸町とタコのつながり」について、動画上映と解説があり、生徒の皆さんからは『タコがこの町で有名だとは知らなかった』といった驚きの声も聞こえ、町の特産や文化への理解が深まるきっかけとなったようです。

南三陸BBQ体験

 昼食では、漁港のすぐそばに位置する旧志津川仮設魚市場にてBBQ体験。開放的な空間で、心地よい海風を感じながらの食事となりました。

 BBQではお肉や野菜に加えて、南三陸町ならではの新鮮な海の幸――特にタコなどの海鮮食材も用意されました。午前中のタコロン絵付け体験で学んだ「南三陸町とタコのつながり」に思いを馳せつつ、生徒の皆さんには和やかな雰囲気の中で食事を楽しんでいただけたと思います。

南三陸311メモリアル ラーニングプログラム

 最初の震災学習は「南三陸311メモリアル」にて行われた「ラーニングプログラム」。このプログラムの中心は、東日本大震災発生で被災された方々の証言映像を通じて、災害が起きた時に、どう行動するべきかを普段の暮らしの中で考えることを提唱するものです。生徒たちは緊張感をもって視聴していました。

 映像の合間には「自分の命を守るためには何が必要か」というテーマのもと、万が一に備えた意識が自分にあるのか、今後どのように行動していくべきかを考えるディスカッションが始まります。近くに座る人と熱心に言葉を交わしながら、自分の立場に置き換えて真剣に考える生徒たちの姿がそこにはありました。

語り部による学びのプログラム

 震災学習のもう一つのプログラムは、生徒たちの乗るバスに震災を経験した語り部が乗車し、当時のお話を直接聞きながら、町内施設を巡るものです。道中のバス車内では語り部の方から、車窓から覗く風景の当時の状況や被災体験について語っていただきました。

 目的地ではバスを降りて、被災した建物や津波の痕跡が残る場所を実際に確認します。津波が到達した高さ、倒壊した建造物を自分の目で確かめ、伝聞だけでなく、その当時を肌で感じ取る場面もありました。知識として学ぶだけでなく、現地に立って初めて得られる感覚に、生徒たちは静かに向き合っている様子でした。

海から学ぶプログラム(漁業体験)

 今回の最後を締めくくったのは、南三陸町の基幹産業である「漁業」を学ぶ体験プログラムです。生徒たちはグループに分かれ、町の漁業従事者から実際の漁業に触れる貴重な時間を過ごしました。

 体験内容は多岐にわたり、牡蠣の養殖で使用される採苗器(さいびょうき)づくりや、漁師が普段から扱うロープワークの実習、さらには志津川湾での乗船体験や、海の生き物観察など、海とともにある暮らしを肌で感じられるプログラムです。

 牡蠣の成長を支える採苗器を丁寧に組み立てたり、ロープの結び方を一つ一つ確認しながら覚えたりと、手を動かしながら漁業の技術に触れていきます。また、生き物観察では町の特産のウニやタコのほか、近年の海水温上昇により採れるようになったイセエビなどを夢中で観察しながら、恐る恐る手に持ってみていたのも印象的でした。乗船体験では、普段乗ることのできない漁船に乗り込み、湾内で養殖しているカキについて生産者ならではの話を聞いていました。体験を終えた生徒が、これから船に乗る生徒に向けて楽しそうに感想を伝える様子があり、漁船での貴重な体験が生徒たちにとって大きな学びと良き思い出になったことが伺えます。

 同じ宮城県内でありながら、まったく環境が異なる場所で暮らす生徒にとって、この2日間の体験は地元では味わえない貴重な経験になったと思います。
 特に震災後に生まれた生徒にとって、今回震災について学んだことは、資料から得たこれまでの情報とは比較できない何かが得られたことでしょう。
 生徒の皆様の、今後の“生き方”に少しでもプラスになったことを期待します。

 

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