武蔵高等学校中学校 探究学習受け入れ事例

探究学習プログラム 実施概要

【日時】 2026年8月19日(水)〜21日(金)2泊3日

【対象】 武蔵高等学校中学校 生徒16名(同行教員1名)

【ツアー名】 夏の東北地域探究旅行「南三陸(海の営み×いのちの循環)コース」

【現地協力】 NPO法人 海の自然史研究所 / 南三陸町農林水産課 / 宮城県漁協志津川支所 / 南三陸海しょくにん / カネキ吉田商店 / 南三陸311メモリアル

1. プログラムのねらいと「南三陸」をフィールドにする理由

東日本大震災で甚大な被害を受けた南三陸町。復興の歩みの中で、町は自然の脅威と向き合いながらもその恵みを生かし、人と自然が共生する「いのちめぐるまち」を目指して持続可能な地域づくりを推進してきました。
本コースでは、南三陸の基幹産業である「海の営み」に焦点を当てました。単なる観光や施設見学にとどまらず、水産卸売市場・養殖漁業・加工工場の現場へ直接足を運び、第一線で働く人々との対話を通じて「現場のリアルな課題(環境変化・人手不足・産業継承)」を捉え、生徒一人ひとりが自分自身の「問い」を深めるプロセスを重視し、設計しました。

  現地伴走体制

全体コーディネート:平井 和也 氏(NPO法人 海の自然史研究所)

初日ガイダンスでの平井氏からのメッセージ:

「このツアーでは『なぜ?』と思ったことを地域の方々に直接ぶつけ、問いかけることから探究が始まります。ただしツアー内で問いかけることがゴールではありません。学校に戻ってから、探究が進み社会に出てからが本当の『問い』のスタートです。ぜひ自分たちの興味のある分野から一歩を踏み出してください。」

2. 3日間のフィールドワークと生徒たちの変容

DAY 1

南三陸を知り、海と地域のつながりを考える(インプット)

初日は南三陸の豊かな生態系と復興の歩みを体感。サンオーレそではま海水浴場での自然観察や「南三陸311メモリアル」での講話・まちあるき語り部を実施しました。町農林水産課の職員からは、近年の海水温上昇による魚種の変化や人手不足など、現在の水産業が抱えるリアルな課題を聞き、「豊かな海」の裏側にある変化に目を向ける土台を築きました。

DAY 2

変化する海と、現場で生きる人々の営みを知る(自分事化)

早朝の地方卸売市場見学から始まり、漁協スタッフ、地元漁師、水産加工事業者へ直接インタビューを実施。実際に漁船へ乗り込んで養殖現場を洋上から視察することで、前日の知識が体験へと昇華されました。

対話した現場の方々生徒が受け取った現場のリアル・課題感
宮城県漁協・地元漁師
(南三陸海しょくにん)
「海水温上昇で新魚種が混獲されるが、漁法や流通ルートをゼロから作ることがとても難しい」「高齢化で手伝い合える仲間が減少」「海洋ゴミ削減への挑戦」
水産加工会社
(カネキ吉田商店)
「地域資源の変化や供給不安に対応するため海外仕入れルートも確保」「高齢化や変化への対応という課題は漁師と共通している」

DAY 3

体験を「問い」に変え、自分だけの探究計画へ(アウトプット)

最終日は、3日間で生まれた疑問を各自の「問い」として落とし込み、探究計画をまとめたプレゼンテーションを実施。発表後には、「その課題を本当に解決するためには何が必要か」「誰に、どのように伝えるのか」といった問いが生徒から投げかけられ、考えをさらに深めていく場面もありました。

生徒が作成・発表した探究テーマ一覧(抜粋)

  • 「新しい漁業の資金確保のため、周囲に魚種の変化を広めるには?」
  • 「南三陸町の魅力や魚を若い世代に広めるには?」
  • 「新しく獲れはじめた魚を獲る漁業を確立する」
  • 「志津川湾の海産植物群落保全による利益の周知に関する考察」
  • 「南三陸の養殖の技術を武蔵高校生に伝えるにはどうするか?」

参加生徒のリアルな声と成果

「対話」を通じた深まり

「地域の人と交流するツアーを期待して参加しましたが、期待通り海に関わるさまざまな立場の方と深くお話しができました。」

「知識」から「実感」への変化

「津波の被害があった町として知っていましたが、高台から町を一望しながら話を聞くことで、知識だけではない本当の実感を得られました。」

現場のリアルへの驚き

「市場で卸売りによって魚が一切売れ残らないシステムになっていることに一番驚きました。現場を見なければ分からないことばかりでした。」

探究の本質への気づき

「今回のツアーを通して、実際に体験して自分でさらに深掘りすることはとても大切なことなのだと強く気づかされました。」

同行・白井先生からの評価:

「探究テーマとなる地域の海で泳ぐなど、まずは楽しみながら地域に入っていけたことが良かったです。漁師、行政、漁協、水産加工業者と、さまざまな立場から漁業を知ることで、学校だけでは伝えにくい現場の課題にも触れられました。この経験が、生徒たち自身の地域を見つめ直すきっかけにもなればと思います。」

3日間で見つけた課題は、すぐに答えを出せるようなものではありません。むしろ、現場を知ったからこそ生まれた、簡単には答えの出ない問いを抱えていきます。海を知り、人を知り、地域の課題を知る。そして、自分自身の中で問いを見つける。南三陸での3日間は答えを探す旅ではなく、これからも自分自身で、地域の課題や対策について探究していくための、「問いの種」を見つける旅となったことを願っています。

本プログラムが提供する教育価値(学校の先生方へ)

【専門コーディネーターの伴走】

探究学習のプロ(NPO法人海の自然史研究所)が全行程をサポートするため、先生方の引率負担を大幅に軽減し、深い学びを実現します。

【本物の一次情報へのアクセス】

ネット検索では出てこない現場の「生の声」「葛藤」に触れることで、生徒の探究の質が一気に高まります。

【地域一体型のカスタマイズ】

行政・事業者・一次産業従事者・NPO等が連携しており、貴校のカリキュラムや関心領域(防災・環境・地域創生など)に合わせてフレキシブルに調整可能です。

学校関係者・旅行会社のみなさまへ

南三陸町では、全国の中学校・高校様の探究学習の受け入れ・プログラムコーディネートを行っております。
「探究テーマの相談をしたい」「過去のモデル日程や概算費用を知りたい」など、お気軽にお問い合わせください。