巣鴨中学校 探究学習受け入れ事例

探究学習プログラム 実施概要

【日時】 2026年8月26日(水)〜29日(土)3泊4日

【対象】 巣鴨中学校 生徒18名(引率教員2名)

【ツアー名】 巣鴨中学校ファームステイ (南三陸町コース)

【現地協力】 NPO法人 海の自然史研究所 / 南三陸町農林水産課 / 宮城県漁協志津川支所 / 南三陸海しょくにん / カネキ吉田商店 / 南三陸311メモリアル/株式会社佐久/でんでんむしカンパニー/民泊受入家庭

1. プログラムのねらいと「南三陸」をフィールドにする理由

本研修では、南三陸町をフィールドに、地域の基幹産業である一次産業について、「現場を知る」「地域の人と対話する」「自分たちで考える」ことを重視した探究学習を行いました。
海から山、農業、水産加工まで、南三陸町のさまざまな産業の現場を実際に訪れ、生産者や事業者との対話を通じて、一次産業が地域の暮らしや産業とどのようにつながっているのかを学びました。
また、単なる施設見学にとどまらず、漁船への乗船や農業体験、民泊など、実際に地域に入り込む体験を組み合わせることで、現場で感じた疑問や気づきをその後の探究につなげる構成としました。

  現地伴走体制

全体コーディネート:平井 和也 氏(NPO法人 海の自然史研究所)

初日ガイダンスでの平井氏からのメッセージ:

「これから始まる4日間では、漁業や林業など、普段はなかなか見ることのできない一次産業の現場に実際に入り、そこで働く方々の話を直接聞いてもらいます。

ただ、『体験して終わり』にしてほしいとは思っていません。現場を見て、話を聞いて、実際に体験する中で、『なぜ?』『どうして?』『もっと知りたい』と思ったことを、ぜひ大切にしてください。そして、その疑問を地域の方々に直接ぶつけてみてください。

一次産業を取り巻く環境や課題に、決まった答えがあるわけではありません。だからこそ、皆さん自身が現場で感じたこと、気づいたことから、自分なりの問いを見つけてほしいと思います。

この4日間は、一次産業について学ぶだけでなく、地域で働く人や暮らす人との出会いを通じて、『自分は何を感じたのか』『なぜそう思ったのか』を考える時間でもあります。

ぜひ、最初から答えを探そうとせず、たくさん見て、聞いて、話して、疑問を持ってください。この4日間で見つけた小さな『なぜ?』が、皆さんのこれからの探究につながる最初の一歩になることを期待しています。」

2. 3日間のフィールドワークと生徒たちの変容

DAY 1

南三陸を知り、地域と産業を考える(インプット)

初日は、南三陸町の概要説明やオリエンテーションからスタート。
南三陸311メモリアルでの学びや語り部によるバス視察を通じて、東日本大震災からの復興の歩みや、地域が自然と向き合いながら暮らしを築いてきた背景について学びました。

DAY 2

海・山の現場から一次産業を知る(自分事化)

2日目は、一次産業の現場に直接入り込むフィールドワークを実施しました。
歌津泊浜漁港では漁船に乗船し、漁業の現場を体験。その後、FSC国際認証を取得した山林で林業家より話を伺いました。
森林を守りながら資源を活用していくための取り組みや、長い年月をかけて山を育てていく林業の考え方に触れ、一次産業を考えるうえでは「生産すること」だけでなく、自然環境を次の世代へつないでいく視点が重要であることを学びました。
午前中に訪れた海と山という異なるフィールドを通じて、それぞれの産業が地域の自然と深く結びついていることを実感しました。

午後には、生産者の方々と昼食をともにしながら、より身近な距離で交流する時間を持ちました。食事を囲みながら話をすることで、仕事の話だけではなく、地域で暮らす中で感じていることや、地域の魅力、これからの地域についての思いなど、さまざまな話を聞くことができました。実際にその地域で働き、暮らしている方との対話を通して、地域の課題だけでなく、そこに暮らす人だからこそ分かる地域の魅力にも気づくことができました。

また、この日から民泊体験もスタートしました。地域の家庭で実際に生活することで、これまでのフィールドワークとは異なる角度から地域を知る機会となりました。食事や日常の会話など、普段の暮らしをともにする中で、地域の生活習慣や文化、人とのつながりを身近に感じることができました。

対話した現場の方々生徒が受け取った現場のリアル・課題感
宮城県漁協・地元漁師
(南三陸海しょくにん)
「担い手の高齢化」「海洋ごみなど、漁業を取り巻く現状や課題」「漁業の魅力や将来のキャリア選択について」
林業経営
(株式会社佐久)
収入面に加え、「なぜこの仕事を選んだのか」「仕事の楽しいこと・大変なこと」など、林業に携わる人のリアルな声
農業・藍栽培加工
(でんでんむしカンパニー)
「農業経営」「作物が生産・流通するまでの仕組みについて」「農業の仕事の魅力は何か」

DAY 3

農業・水産業の現場から、産業のつながりを考える(自分事化)

午前は、前日に昼食を共にした農家の方のもとで藍栽培の農業体験を行い、実際に手を動かしながら農業の現場を学びました。さらに、藍を活用した新たな産業づくりや、栽培から加工まで一貫して手掛ける取り組みについても学びました。

午後には南三陸町卸売市場を見学し、水産物がどのように流通しているのかを学習。
さらに、カネキ吉田商店では、水産加工や商品開発についての講話と工場見学を実施しました。
生産する現場だけでなく、「市場に出す」「加工する」「商品として届ける」という流れまで見ることで、一次産業を地域の産業全体の中で捉える機会となりました。
その後、グループ発表に向けた準備を行い、3日間の体験や対話を通じて生まれた疑問や気づきを整理しました。

DAY 4

体験を振り返り、自分たちの問いへ(アウトプット)

最終日は、民泊家庭とのお別れ式を行った後、グループごとに発表準備。
南三陸町で実際に見て、聞いて、体験したことをもとに、それぞれのグループが一次産業について考えたことや、そこから生まれた問いを発表しました。
現場で得た情報をそのまま知識として終わらせるのではなく、「自分たちは何を感じたのか」「なぜそうなっているのか」「これからどうしていくべきか」を考えることで、4日間の体験を探究へとつなげました。

参加生徒のリアルな声と成果

「対話」を通じた深まり

・相手にどう話しかけ、どのような質問を投げかければよいのか、実際の対話を通じて具体的にイメージできるようになった。
・発表や相手とのコミュニケーションにも、以前より積極的に取り組めるようになった。

一次産業の「現実」への気づき

・この地域を訪れ、一次産業が抱える課題の深刻さを、改めて実感し、重く受け止めることができた。
・一次産業の実態を知り、二次産業、三次産業とのバランスの重要性を知ることができた。

「食」を通じて感じた感謝

・民泊家庭では、新鮮なアイナメのお刺身など、これまで食べたことのない料理をいただき、地域ならではの食の魅力を感じた。
・当たり前のように身の回りにある食材も、多くの人の関わりや努力によって届けられているものだと改めて実感し、感謝することの大切さを感じた。

地域とのつながり

・民泊先の方がとても優しく接してくださり、地域の方との交流を楽しむことができた。もう少し長く滞在して、さらに地域のことを知りたかった。
・また、みんなで南三陸を訪れたいと思った。

今回の4日間は、「一次産業」の現場を直接訪れ、そこで働く人々の声を聞きながら、地域の産業や暮らしについて学ぶことを重点に実施しました。漁業や林業の現場に入り、実際の仕事を体験したことで、一次産業が自然環境と深く関わりながら成り立っていること、そして地域の暮らしや人とのつながりによって支えられていることを実感しました。

4日間を通して見つけた課題は、すぐに答えを出せるようなものではありません。むしろ、現場を知ったからこそ生まれた、簡単には答えの出ない問いが、一人ひとりの中に残ったのではないでしょうか。

海や山を知り、そこで働く人を知り、地域の暮らしや課題を知る。そして、現場で得た気づきから、自分自身の中に新たな問いを見つける。

南三陸での4日間は、答えを探して終わる旅ではなく、これからも自分自身で地域の課題やその解決策について考え、探究していくための「問いの種」を見つける旅となりました。この4日間で得た経験や気づきを、それぞれのこれからの学びや行動につなげていくことを期待しています。

本プログラムが提供する教育価値(学校の先生方へ)

【専門コーディネーターの伴走】

探究学習のプロ(NPO法人海の自然史研究所)が全行程をサポートするため、先生方の引率負担を大幅に軽減し、深い学びを実現します。

【本物の一次情報へのアクセス】

ネット検索では出てこない現場の「生の声」「葛藤」に触れることで、生徒の探究の質が一気に高まります。

【地域一体型のカスタマイズ】

行政・事業者・一次産業従事者・NPO等が連携しており、貴校のカリキュラムや関心領域(防災・環境・地域創生など)に合わせてフレキシブルに調整可能です。

学校関係者・旅行会社のみなさまへ

南三陸町では、全国の中学校・高校様の探究学習の受け入れ・プログラムコーディネートを行っております。
「探究テーマの相談をしたい」「過去のモデル日程や概算費用を知りたい」など、お気軽にお問い合わせください。