創造未來的旅程_来訪レポート

実施概要

【日時】2026年7月28日(火)-8月11日(火)
【団体】創造未來的旅程
【人数】11名

創造未來的旅程(台湾)

 本研修は、台湾政府が推進する若者海外派遣事業「青年百億海外圓夢基金計畫」の採択プログラムとして、台湾の高校生11名が宮城県南三陸町を中心に15日間の研修を実施された内容となります。「未来を創造する旅:南三陸から世界へ―防災・地方創生・観光の『実践知』を発信する」をテーマに、東日本大震災から復興を遂げた南三陸町を学びのフィールドとして、防災、地域づくり、観光振興について地域住民・行政・事業者との交流を通して実践的に学ぶ国際教育プログラムです。

 研修の集大成として、台湾の高校生が自ら「南三陸町の魅力を世界へ発信するPR企画」を企画・発表。海外の若者ならではの視点から地域の価値を再発見し、国際的な情報発信につながる提案が行われました。

南三陸町実施スケジュール


1.南三陸町の「今」をつくる人々に出会う

 研修では、地域づくり、産業、観光、行政など、さまざまな分野で南三陸町の「今」を築き上げてきた方々との出会いがありました。震災からの復興を経験した地域だからこそ語ることのできる経験や、現在進行形で地域の未来をつくっている方々の取り組みについて、講話やインタビューを通して学びました。

■特別講演

・「創造的ルネサンス」/南三陸YES工房・阿部忠義氏
・「台湾と南三陸の繋がりについて」/佐藤仁 前町長
・「震災後のビジネス再生」/株式会社丸荒・及川吉則氏
・「SDGs×地方創生講座」/戸倉カキ部会・後藤清広氏、株式会社佐久・佐藤太一氏

「復興した町を見る」だけではなく、「復興に携わってきた人々の言葉を聞く」。それぞれの立場から語られる経験や思いに触れることで、生徒たちは南三陸町の現在を支えている人々の姿を知り、より一層の深い理解へとたどり着けます。

2.視点を拡げ、宮城県の歴史・自然・産業を知る

南三陸での学びに加え、研修では宮城県内のさまざまな地域にも足を運びました。歴史的な教育資料館や湿地の環境保全、農業、森林、灌漑施設、最先端の科学技術施設などを訪問。地域が持つ自然や文化、産業をどのように守り、活かし、次の世代へつないでいくのかを、それぞれの現場から彼らは学びました。

■見学施設(町内外)など

・南三陸町東日本大震災伝承館「南三陸311メモリアル」
・みやぎの明治村「教育資料館」(登米市)
・伊豆沼 見学(登米市)
・伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(登米市)
・株式会社丸荒 水産加工工場
・大堰頭首工(大崎市)
・荒島 森林散策
・3GeV高輝度放射光施設「Nano Terasu」(仙台市)
・株式会社 office PLAN B(仙台市)
・高齢者支援施設「結の里」

3.「地域を知る・体験する」から「自分たちの視点で地域を考える」へ

 さまざまな方より多くの話を聞き、地域を歩き、南三陸町の産業や自然などに触れてきた生徒たち。研修も中盤を迎えたところで、今までに「見て」「聞いて」「感じてきた」南三陸町について、台湾の高校生ならではの視点から意見を出し合うワークショップが行われました。

▶テーマ:『町や地方の課題』『未来へ伝えたい/残したい事』『台湾には無い物』『驚いた事』『感動した事』

 それぞれの問いに対して、自分が抱えていたことを付箋に書き出し、グループで共有していきます。互いに書き出しては、その内容について語りあうなど、付箋を貼り出す前から会話が広がり、見たもの・感じた印象を伝え合う様子が見て取れました。ここでは、南三陸について「正解を探す」のではなく、実際に地域を訪れたからこそ生まれた、それぞれの気づきを持ち寄ることこそが大切にされていました。

こうした一つひとつの気づきが重なり、生徒たちの中にある「南三陸町」の姿が少しずつ形になっていきました。そして、この問いかけはその後の最終発表へとつながっていきます。

4.「南三陸町の魅力を世界へ発信するPR企画」

 15日間の研修の集大成として行われたのが、「南三陸町の魅力を世界へ発信するPR企画」の発表です。地域の人々から話を聞き、さまざまな場所を訪れ、地域の仕事や暮らしに触れ、そして自分たちの視点から南三陸町について考えてきた生徒たち。最終発表では、そうした経験をもとに、南三陸町の魅力や地域が抱える課題について考察し、「自分たちなら南三陸をどのように伝えるか」という視点から、それぞれの提案をまとめました。

 魅力を伝える方法として、先ずは映像作品のロケ地としての発信や、影響力のある人とのコラボレーション、インタラクティブ性の高いPRなど、若者ならではの視点から多くのアイデアが提案されていきました。また、鉄道の再建や大型の娯楽施設、電子商取引の活用、地域ブランドの強化、若者の起業支援など、観光や情報発信にとどまらず地域そのものの魅力を高めるための提案も挙げられました。

 一方で、生徒たちは観光や経済だけでなく、地域で暮らす人々の未来にも目を向けていました。台湾と日本に共通する人口高齢化や労働力不足、若者の流出といった課題を取り上げ、「職業探索」や「現地実習」を通して若者と地域との長期的なつながりをつくることや、介護を担う人々の職場環境を改善することなど、地域で暮らし続けるための環境についても触れられていました。

 また、地域資源の活用については、「施設の静態保護から活態共生へ」という考え方も示されました。自然や文化をただ保存するのではなく、地域の人々や訪れる人々が関わりながら、その価値を未来へつないでいく。そのためには、自然保護と商業化の間で新たなバランスを探ることも必要だという提案です。

 南三陸町への提案を考えることから始まった発表は、やがて「地域の魅力をどう伝えるか」だけではなく、「地域の価値をどう守り、どう未来へつないでいくか」という問いへと広がっていました。台湾の高校生たちが南三陸町で出会い、見て、考えたこと。その一つひとつが、彼ら自身の言葉となって発表されたのです。

5.さいごに

 生徒たちが発表したのは、南三陸について「教えてもらったこと」のまとめではありません。15日間、自分たちの目で見て、耳で聞き、実際に体験したからこそ生まれた、台湾の高校生から見た南三陸町への提案です。

 地域の人々の歩みを間近で見た生徒からは、こんな言葉も聞けました。

「誰も成功するかどうかは分からない。けれど、南三陸町の人々はそれでも挑戦する意思があった」

南三陸で出会った人々の姿から、地域の未来に向けて挑戦し続けるという「不確実性に向き合う」ことの意味を感じ取っていました。

 そして、震災で残ったものは破壊された建物だけでは決してなく、当時の記録もまた残されてきたのだと学んだ生徒からは、このような気づきも生まれました。

「災害教育とは、悲劇にとどまるものではなく、震災以前の記憶を引き続き見えるようにするためにある」

地域の人々の歩みを間近で見たからこそ、生まれた言葉です。

 15日間の出会いと学びは、南三陸を知る旅から、地域の未来を考え、自分たちの言葉で伝える旅へとつながりました。南三陸町で得た学びを、今度は自分たちが「伝える側」へ。それが、この研修の最後に生徒たちがたどり着いた、新たな一歩となりました。

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