南三陸と聞いて、思い浮かべる食べものは何ですか?牡蠣やホヤ、ウニ、タコ。海の幸を思い浮かべる方が多いかもしれません。
そんな海の町・南三陸で、実は「桃」も育てられています。
今回訪ねたのは、町内で桃を育てる生産者の一人、太田和慶さんの桃畑。桃づくりについてお話を伺っていくと、そこには桃のおいしさだけではなく、海や里の恵み、人のつながりを大切にする南三陸らしい農業の姿がありました。
太田さんの畑を訪ねながら、まだまだ知られていない「南三陸の桃」の魅力をご紹介します。
01|海の町で育つ「南三陸の桃」
「南三陸で桃がつくられている」と聞いて、少し意外に感じる方もいるのではないでしょうか。
海のイメージが強い南三陸ですが、町内では複数の生産者が桃を育てています。
太田さんによると、町内で栽培されている桃は30品種以上。早いものでは7月頃から収穫が始まり、品種を変えながら9月頃までさまざまな桃が実ります。
太田さんの畑では、現在11品種・23本の桃を栽培しています。「はなよめ」「日川白桃」「あかつき」「川中島白桃」「おどろき」「伊達白桃」など、名前も個性豊か。
同じ「桃」でも、品種によって収穫時期や味わいが違い、時期によって出会える桃が変わります。

※収穫時期は天候や生育状況などにより前後します。
02|桃農家・太田さんの畑を訪ねました
今回お話を伺ったのは、南三陸町で桃を育てる太田和慶さん。(循環農園meguras)

山形県出身の太田さんは、長野県や岩手県などで農業に携わった後、2022年に南三陸町へ移住。地域おこし協力隊として、地域の資源を活かした農業などに取り組んできました。
畑の桃の木は現在4年目で、まだまだ成長の途中です。桃の木が大きく育つまでには7~8年ほど。現在の木には1本あたり300個ほどの実がつき、大きくなると800~1,000個ほど実るようになるそうです。
桃だけでなく、さまざまな農作物を育てている太田さん。将来はフルーツパークのような場所づくりにも挑戦してみたいそうです。
太田さん一緒につくる仲間、募集中です!
夏の桃は、一年かけて育てられる
桃の収穫は7月頃から始まりますが、桃づくりは夏だけの仕事ではありません。
冬の剪定から始まり、春にはつぼみや花、小さな実を選び、6月には袋掛け。7月から収穫が始まり、収穫後も翌年に向けた枝づくりや肥料を与える作業が続きます。

私たちがお店で目にする桃は、こうして一年を通して少しずつ手をかけながら育てられています。
太田さんの桃畑では、町内で出た牡蠣殻や、ワインづくりで出るぶどうの搾りかすなども、桃づくりに活用されています。
こうした地域のものを活かした桃づくりについて、もう少し詳しくお話を伺いました。
03|桃畑で見つけた、南三陸の「めぐる」
太田さんの桃畑では、できるだけ地域にあるものを活かしながら桃を育てています。

そのひとつが、南三陸ワイナリーでワインをつくる際に出る、ぶどうの搾りかす(ワインパミス)です。
発酵させたワインパミスを肥料として桃の木の根元にまき、土づくりに活用しています。
そして、海の町・南三陸らしいものも。

冬には町内で出た牡蠣殻を桃の木の根元へ。
牡蠣殻に含まれる成分を、桃づくりに活かしています。
さらに使われているのが、南三陸BIOでつくられる液肥です。南三陸BIOでは、町内の家庭や飲食店などから出る生ごみなどを集め、バイオガスや液肥として活用しています。
太田さんの畑では、その液肥も桃づくりに活用。一方で、畑で落ちてしまった桃などは南三陸BIOへ戻り、再び液肥の原料として活用されます。

町で出たものが畑へ、畑から出たものがまた町の仕組みの中へ。
「いのちめぐるまち」を掲げる南三陸町では、こうした資源を地域の中で循環させる取り組みが進められています。
太田さんの桃づくりも、そのつながりのひとつです。
04|桃農家さんに聞いた、おいしい桃の楽しみ方
桃は、収穫するタイミングによっても味わいが変わります。
太田さんが大切にしているのは、できるだけ完熟した桃を収穫すること。桃のおしりの部分がふっくらとしてくるのも、収穫時期を見極める目安のひとつ 。収穫は朝に行い、よりよい状態で届けられるようにしています。
そして、同じように育てていても、大きさや甘さなど一つひとつ違う桃ができるのも、桃づくりの面白さ。「もっとこうしたらどうなるだろう」と、まだまだ試してみたいこともあるそうです。

太田さんおすすめの食べ方
桃は冷やしすぎると甘みを感じにくくなるため、食べる1~2時間ほど前に冷蔵庫へ入れるのがおすすめ。
太田さんから教えてもらったのは、桃に塩を少しつけて食べる方法です。スイカに塩をかけるように、桃の甘みを楽しめるそうです。
また、熟しすぎた桃はスムージーにするのもおすすめとのこと。
品種によって、やわらかさや果汁の多さ、甘みなどもさまざまです。時期によって違う桃に出会えるのも、南三陸の桃を楽しむポイントです。


05|畑から町のお店へ。南三陸の桃を味わおう
南三陸で育った桃は、そのまま味わうだけでなく、町のお菓子屋さんなどでも使われています。
生産者からお店へと渡った桃が、スイーツなどに姿を変えて楽しめるのも、産地ならでは。
そして、南三陸のフルーツを楽しめるのが、「南三陸スイーツピクニック」です。
桃、しおかぜ葡萄、りんごと、季節ごとにテーマとなる食材が変わり、町内のお店にそれぞれの食材を使ったスイーツが並びます。



同じ食材を使っていても、どんなスイーツになるかはお店によってさまざま。
気になるお店を巡ったり、食べ比べたりしながら、南三陸のフルーツをお楽しみください。
▶ 南三陸スイーツピクニックをチェック

南三陸で育った桃は、道の駅さんさん南三陸内、さんさん商店街の「さんさん市場」でも販売されています。
※桃の販売時期や入荷状況は、収穫状況などにより異なります。
06|桃から知る、南三陸のこと
海の幸のイメージが強い南三陸ですが、里では桃をはじめ、さまざまな農産物も育てられています。
今回、太田さんの桃畑を訪ねてみると、桃そのもののおいしさはもちろん、町で生まれたものを農業に活かす取り組みや、生産者から町のお店へとつながっていく様子を知ることができました。
そして南三陸で育つのは、桃だけではありません。
ブルーベリーやしおかぜ葡萄、りんごなど、季節ごとにさまざまな実りがあります。
海の幸だけでなく、里で育つ農産物にも目を向けてみると、南三陸の「食」の楽しみがもう少し広がるかもしれません。
南三陸を訪れた際には、その季節ならではの味を探してみてください。



最終更新:2026年8月26日

