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生きるまち。

23.岩石さんの木造船

歌津では木で船を造ることを「船をはぐ」という。
16歳の時からひたすら船をはぎ続けて早60年になろうとしている人がいる。
歌津の岩石孝喜さんだ。地元の人たちは「めいげのでくさん」(明家の大工さん)と屋号で彼を呼ぶ。

ほとんどの船がFRP製になってしまった今でも、歌津では数は少ないが木造船が使われている。FRPの船は薄いので磯場で岩にぶつかると穴があきやすく、船体が軽いので風で流されやすい。
木の船は木の厚みがあるので磯場に強く、重いので風が吹いても流されにくい。安定感があり、片側に寄っても転覆する心配がない。歌津の磯場のウニ漁やアワビ漁には最適なのだ。

大津波で船のほとんどが流されてしまった後、地元の漁師たちは岩石さんに造船を依頼した。岩石さん自身も作業場を流されたため、一切の道具を失った。ゼロから道具を取り寄せて船造りを再開させ、数艘を造って納めた。

歌津で漁に使われる船は、船の全長が26尺から28(78m)、船の幅は45寸から7(1.2l.3m)。岩石さんは幅30cmの杉材で船をはぐ。
形や太さなどを吟味された樹齢70年ほどの杉が材料だ。
板と板をぴったり舟釘でつなぎ合わせる。木造船が全国的に減少し続ける中、舟釘を作る工場も広島県にしかなくなった。4種類の舟釘を使い分けて、板と板をぴたりと貼り合わせるのは熟練の技だ。船の側面の湾曲を造るときには、ワラを燃やしてあたため、ゆっくり曲げていく。

岩石さんは船の話になると、とびきりの笑顔になる。
アワビやウニの開口の日には、ふだんは漁をしない岩石さんも、自作の船で海に出て行く。

※ 2023年6月20日現在、一般のお客様および報道関係者様による取材はお断りしております。あらかじめご了承ください。

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