七ヶ宿町立七ヶ宿中学校 村松徹也先生 体験参加者インタビューレポート

 南三陸町では、教育旅行向けのツアー内容についても、生業体験やものづくり体験、民泊体験などさまざまな体験プログラムを提供しています。これまでもたくさんの学校に教育旅行の目的地として選ばれてきました。今回は、数々の学校の中でも2018年から交流のある、七ヶ宿町立七ヶ宿中学校の教員・村松徹也先生にお話を伺ってみました。南三陸町での教育旅行をスタートさせた経緯や実際に体験してみて感じた魅力、今後の展望などについてお話いただきましたのでご紹介します。

 七ヶ宿中学校(しちかしゅくちゅうがっこう)は、不忘山を始めとする蔵王連邦を北に仰ぎ、山形・福島両県に接する宮城県七ヶ宿町内すべてを学区としている学校です。生徒減少により、平成9年に2校の合併に伴い開校。授業の一環でまちづくりにも関わるような取り組みをして地域と密接の関係を築いています。南三陸町へは郊外学習の一環として、2018年から訪れ、民泊、漁業体験、SUP・シーカヤック、キリコ体験などを体験。

南三陸町を校外学習の訪問先として選ばれた理由

 校外学習の研修先として、多くの研修が近距離で体験できることが魅力です。具体的には、「震災からの教訓を学ぶ体験」「海での体験」「職業体験」「まちづくりの実践体験」「伝統行事の体験」「林業についての体験」など七ヶ宿では出来ないことが多くあると感じています。

 七ヶ宿は、同じ県内でも山の中にある学校のため、海での体験や津波の伴う震災からの教訓などは、地域内では学ことができません。そういった体験は生徒にとっても新鮮で刺激になるようです。震災という切り口でも、被害の甚大さだけでなく、「経験したからこそ伝えたいこと」など復興までの道のりの話を聴けることは南三陸だからこその体験であると感じています。

 また、学校として「まちづくり」に取り組んでいるので、実際にまちづくりに関わり実践している方々から話を聴ける機会は、地域に戻ってからも取り組むヒントとして貴重な経験となっています。

 林業という点では、七ヶ宿は森に囲まれた地域だが、FSCへの取り組みなどは七ヶ宿ではない取り組みなので、同じ資源をどういう風に捉えるかなど生徒が考えるきっかけになると思っています。

生徒たちが南三陸での体験を通して感じたこと

 まずは、南三陸町の「人」です。体験を提供してくれる人々の対応に毎回感動しています。観光協会の人々の親身な対応はもちろんのこと、宿のおもてなしの温かさ、体験先の方々の熱心で分かりやすい説明、まちづくりに関わる人々の情熱、出会った人々それぞれが生徒たちに親身に温かく対応してくださっているお陰で充実した時間となっています。

 そして、体験が表面的な内容ではなく、背景までもしっかりと生徒が学べるプログラムが充実していることは素晴らしいと感じています。地域の伝統文化「キリコ」の制作体験も、実際の神社の方から「どういった想いで地域の人が伝統を大切にしてきたのか」など長く続く伝統文化の背景を伝えてもらった上で体験しました。そうした背景を知れたことで、生徒は一層真剣に取り組むことができました。その他、林業やまちづくりの体験も、表面的ではなく背景まで知れるからこそ、生徒たちの心にしっかりと残る内容なのではと思います。

生徒たちが南三陸での体験を通して感じていることや変化

 生徒たちも事前学習をした上で参加しているが、毎回「こんなこともあるんだ!」と新しい発見が多くあり、学びが深まっています。また、実際に地域の街づくりや林業などの現場の方から話を聴くことで、課題意識を持っている生徒たちは「自分の地域でも取り入れられることがある!」と地域に戻った後も南三陸で得た刺激を活かしています。

 毎回違った側面で学びがあるからこそ、生徒たちも「また南三陸町に行きたい!」という声も多いです。今後も、学校としても継続的に訪れて生徒に学びを深めていって欲しいと思っています。

ライター

   西田 早織氏(にしだ さおり) 

埼玉県出身。転職を機に南三陸町へプチ移住。学習院女子大学卒業後、外資系ブランド販売員を経て、現在myProduct株式会社の地域コーディネーターとして南三陸と関わる。地域の産業の担い手と共に、観光体験企画や大手企業との取り組みをコーディネート。地元ではボランティア情報誌の編集長としても活動。

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